痛みに配慮した矯正治療
痛みに配慮した矯正治療
痛みの感覚は人によって千差万別です。それでも初めて矯正治療を受けると、4時間後くらいから痛みを感じる人が多いようです。その後3~4日間程度、歯が浮いたような違和感や硬いものを咬んだときに痛みを感じるケースがあります。
しかし多くの場合は次第に慣れるため、痛みはそれほど感じなくなります。また当院では、患者さんに快適に治療を続けていただくために、できるだけ痛みを軽減する取り組みをしています。
矯正治療の痛みの原因とは
矯正治療で感じる痛みは、歯周組織の神経の部分が外部からの刺激を受けることで発生します。痛みを感じる部分で原因が異なるため、どこが痛むのかを把握することで対処方法が変わります。
歯根膜の痛み
矯正治療に伴う痛みの大半はこの部分で感じます。歯根膜とは歯を支えている組織の名称で、この部分に矯正用のバンドや矯正用ワイヤーが刺激を与えることで痛みを引き起こします。
頬粘膜の痛み
矯正治療に使う装置はいろいろな種類があり、その中でもコバルトクロム合金やステンレススチールワイヤー等の硬質ワイヤーを使用した治療の場合、歯肉や頬粘膜にワイヤーがこすれてしまうために痛みが生じます。また、弾力性を与えるためにループを取り付けることもありますが、それが頬粘膜にこすれて痛みを引き起こす場合があります。
舌の痛み
矯正治療に用いる拡大装置は、ワイヤーに弾力性をもたせるために円状のループが組み込まれています。このループに舌が挟まって痛みが生じることがあります。
当院の痛みを軽減する取り組み
セルフライゲーションブラケットの採用
痛みを軽減する矯正治療として、当院ではセルフライゲーションブラケットを導入しています。セルフライゲーションブラケットは、痛みに配慮した矯正治療として・歯に対して適度な力を持続的にかけることで、余計な負担をかけず自然な歯列矯正を行えるのが特徴です。そのため、従来の矯正治療に比べて少ない痛みで短期間に治療を終えられます。それでも人によっては痛み・不快感が出る方がいらっしゃいます。しかし、こうした症状は2~3日で消失しますので、どうぞご安心ください。
細いワイヤーを使用しています
当院では治療初期に細いワイヤーを使い、できるだけ歯に負担がかからないようにして不快症状の予防に努めています。このワイヤーは、弱い力でジワジワ歯を動かすので症状の度合いが少なく、従来のものに比べて強い痛みを抑えられます。
セパレーションの使用について
セパレーションとは、矯正装置を取り付ける前に、装置を付けやすくする目的で歯と歯の間を広げるために付けるリング状をしたゴム製のものです。これを2~4ヶ所に入れると3日程度は疼くような痛みがありますが、その後は感覚に慣れてしまうので、装置を入れても痛みを感じなくなります。
矯正用ワックスの提供
当院では、装置が唇に当たったり、外れて痛みがある場合などの緊急用に、矯正用ワックスをお渡ししています。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用
- 治療開始当初は矯正装置による不快感、痛み等があるものの、数日から1~2週間で慣れることが多いです。
- 歯の動き方には個人差があるため、想定した治療期間より延長する可能性があります。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正歯科治療には患者さんの努力・協力が必要不可欠です。それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は、装置の装着により歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まるため、丁寧なブラッシングや、定期的なメンテナンスが重要になります。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
- 歯を動かすことで歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきが痩せて下がることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着し、歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受け、壊死することがあります。
- 治療中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯を削ることで歯の形を修正したり、噛み合わせの微調整を行う可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外す際、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、被せ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置を外した後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 装置を外した後、治療により変化した噛み合わせに合わせて被せ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやり直す可能性があります。
- 顎の成長発育により噛み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずの萌出などの影響で凸凹が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病等により歯を支えている骨が痩せると噛み合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる場合があります。
- 前歯を後退させた治療後に、ほうれい線が深くなったり、口唇周囲の皺が目立つようになる可能性があります。
- 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
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