矯正装置・治療法について
矯正装置について

矯正装置は付ける場所により、歯の表側(唇側)につける装置と歯の裏側(舌側)につける装置に分類されます。
舌側(裏側)矯正について

舌側(裏側)矯正とは、ブラケットやワイヤーなどの装置を歯の裏側に付ける治療法です。リンガル矯正とも呼ばれていて、周りの人には見えにくく治療することができます。人前で話をする機会が多い方や、どうしても表側に装置を付けたくない方に適した治療法です。
治療期間は現在、表の矯正と変わらないか、症例によってはより早く治療が終わることもあります。装置も小さくなってきており、違和感や発音のしづらさもかなり軽減されております。表側の装置と比較して裏側は虫歯になるリスクが1/5との報告もあるなどメリットが多い治療法です。
装置の製作(簡単な写真や絵など)もSETUPとよばれる最終的なきれいな歯並びを一旦作る予測模型やコアと呼ばれる精密な治療の土台となる装置の製作を矯正専門技工所に依頼し、その設定確認を行った後に製作、納品いただいております。
●メリット
- 装置が見えにくく目立ちにくくなる
- 矯正中のむし歯トラブルになりにくい
●デメリット
- 装着後の違和感や発音がしづらいことがある
- 唇側(表側)矯正と比較すると費用が高くなる
●ハーフリンガル矯正舌側矯正
上の歯は裏側から、下の歯は表側に装置を付けて治療する方法です。上も下も表側から付けて治すより装置が目立ちにくく、リーズナブルで発音や食事への影響が少ないため、人気の治療法です。
唇側(表側)矯正について

唇側(表側)矯正とは、ブラケットと呼ばれる矯正装置を歯の表面に装着してワイヤーを通し、ワイヤーを引っ張る力で歯を移動させる治療法です。矯正治療においてもっとも一般的な治療方です。古くから行われてきたオーソドックスな治療法で治療実績も多く、幅広い症例と年齢に対応できます。
●メリット
- 幅広い症例に対応できる
- 舌側(裏側)矯正よりも費用が安価になる
●デメリット
- ブラケットやワイヤーなどの装置が見えてしまう
近年、唇側(表側)矯正でも、できるだけ、見えにくく目立ちにくいように、ブラケットが美しく小さくなってきております。当院では、セラミック製、ポリウレタン製、サファイア製、プラスチック製など各種取りそろえております。
また、ブラケット以外にもワイヤーやフックなどは白いものや透明なものを使用することで、できる限り見えにくく、目立ちにくいように治療を行っております。
マウスピース矯正
患者さんがご自身で取り外せる透明なマウスピースを使用する治療法です。睡眠時間を含めて1日20時間装着する必要があります。装置の能力に限界があるため、難しい症例には使用できない場合があります。

マウスピース型矯正装置(インビザライン)
マウスピースをオーダーメイドで製作し、1~2週間ごとに交換しながら徐々に歯を動かします。治療する前に、使用する複数のマウスピースを最終的な段階までまとめて製作する方式をとるのが特徴です。そのため、来院回数(6~8週間に1度)を減らせます。
●マウスピース型矯正装置(インビザライン)の特徴
- 食事中に取り外せるため、自由に飲食できる
- 装置を取り外して歯を磨けるので、口腔内の衛生状態を管理しやすい
- 清掃性がよいので、虫歯や歯周病のリスクが軽減できる
- 少しずつ歯を動かすので、痛みが少ない
- ポリウレタン素材のため、金属アレルギーの心配がない
マウスピース型矯正装置(アソアライナー)

マウスピースを用いた矯正は、1個のマウスピースで移動できる歯の移動量が最大で1mm程度と限られています。そのため、適切な位置に歯を移動させるためには、数段階に分けたマウスピースが必要です。
マウスピース型カスタムメイド矯正装置(アソアライナー)は、次の段階に移動する際、毎回型取りをする作業が必要です。しかし、その時点で最適な歯型を取ってマウスピースを製作するので、精度の高い治療ができます。
●マウスピース型矯正装置(アソアライナー)の特徴
- 取り外し式で透明なため、目立たず清掃性がよい
- 痛みが少ない
- ご来院のたびに歯型を取り、歯のことを熟知した技工士が丁寧にマウスピースを製作するので、状況に合わせた治療ができる
- 部分矯正に適応可能な場合がある
※マウスピース型矯正装置(インビザライン、アソアライナー)は、薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
歯をなるべく抜かず、目立ちにくい矯正治療

以前に比べて最近は歯を抜かない治療が多くなっていますが、その場合も目立たせないで治療を行うことができます。治療初期は横の歯に装置を付けることがありますが、それ以外は舌側(裏側)から行ったり、マウスピース型カスタムメイド矯正装置(インビザライン)などのマウスピースを用いて治療を行えます。もちろん歯を動かす程度により抜歯をお勧めすることもあります。
歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正治療

矯正治療用につくった小さなアンカースクリューを一時的に歯と歯の間の骨に入れ、この装置を支点に歯を引っ張って歯列を整える治療法です。通常の治療より歯の動きが安定するので、治療期間が短縮できる場合があります。
歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正は、通常のアンカースクリューと違い、取り付けるのに要する時間がごくわずかです。また、歯列の移動が終わると簡単に取り外せます。当院で採用している装置は、脱落がほとんどなく、小さいために違和感が少ない特徴があります。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用
- 治療開始当初は矯正装置による不快感、痛み等があるものの、数日から1~2週間で慣れることが多いです。
- 歯の動き方には個人差があるため、想定した治療期間より延長する可能性があります。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正歯科治療には患者さんの努力・協力が必要不可欠です。それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は、装置の装着により歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まるため、丁寧なブラッシングや、定期的なメンテナンスが重要になります。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
- 歯を動かすことで歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきが痩せて下がることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着し、歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受け、壊死することがあります。
- 治療中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯を削ることで歯の形を修正したり、噛み合わせの微調整を行う可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外す際、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、被せ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置を外した後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 装置を外した後、治療により変化した噛み合わせに合わせて被せ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやり直す可能性があります。
- 顎の成長発育により噛み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずの萌出などの影響で凸凹が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病等により歯を支えている骨が痩せると噛み合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる場合があります。
- 前歯を後退させた治療後に、ほうれい線が深くなったり、口唇周囲の皺が目立つようになる可能性があります。
- 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
未承認医療機器の使用について
●未承認医薬品等の使用・国内の承認医薬品等の有無について
(未承認医薬品等の使用)
当院で使用していますマウスピース型カスタムメイド矯正装置(製品名:インビザライン®)は、日本国薬機法上の医療機器として認証・承認を得ていない装置であり、日本国歯科技工士法上の矯正装置にも該当しません。そのため、万が一海外カスタムメイド矯正装置使用中に違和感等ございましたら、すぐに当院までご連絡をお願いします。装置は、日本で歯科医師・歯科技工士が製作するのではなく、海外の工場でロボットにより製作されます。カスタムメイドの矯正装置であり、既製品ではないため(市場流通性がありません)、薬機法の対象となりません。薬機法の対象外であるため、医薬品副作用被害救済制度の対象とならない場合があります。その点ご了承ください。
(国内の承認医薬品等の有無)
マウスピース型カスタムメイド矯正装置のメーカーは国内外に多数あります。インビザライン®以外に、日本国で承認を得ている矯正装置を用いた治療法が存在します。
※上記の趣旨をご承知の上、使用を希望される場合には同意書の記載が必要となります。●入手経路について
当院が使用するマウスピース型カスタムメイド矯正装置(製品名:インビザライン®)は、米国アライン・テクノロジー社の製品です。当院はインビザライン®を用いた治療システムを、米国アライン・テクノロジー社のグループ会社である「アライン・テクノロジー・ジャパン株式会社」より入手しています。●諸外国における安全性等の情報
インビザライン®は、1998年にFDA(米国食品医薬品局)により医療機器として認証を受けていて、これまでに治療を受けた患者さんは、世界で520万人(2018年1月時点)に上りますが、重大な副作用の報告はありません。ご不明点等ございましたら一度ご相談ください。